1.そもそも作業療法士とは？

作業療法士は、病気やケガなどで日常生活に困難を抱える人々が、その人らしく生活できるよう支援する専門家です。身体機能の回復はもちろん、認知機能の改善、精神的な安定、そして社会参加を促すためのリハビリテーションを行います。

具体的な仕事内容は、以下のとおり。

・身体機能の評価と改善

運動機能・感覚機能・認知機能などの評価を行い、個々の状態に合わせた運動療法や動作訓練を行います。

・日常生活動作の支援

食事・着替え・トイレなど、日常生活に必要な動作の訓練を行います。

・環境調整

住環境や作業環境を、利用者様の状態に合わせて調整します。

・社会参加支援

趣味活動やボランティア活動など、社会参加を促すための支援を行います。

2.作業療法士の就職先はどこがあるの？

では、作業療法士の就職先はどこでしょうか？

以下は、「日本作業療法士協会」の会員の働く場所別の会員分布のデータです。

このデータを見ると作業療法士の主な就職先は医療関係が多いことがわかりますね。

（参照：日本作業療法士協会　2022年度 日本作業療法士協会会員統計資料　2024年12月21日確認)※表中の％数値は、少数第 2 位以下を四捨五入してあるため、その合計は必ずしも100％にはならない。また、休業中などの非有効データを除いた人数。

ですが、作業療法士の活躍の場は、病院のリハビリテーション室だけにはとどまりません。

作業療法士の活躍の場は...

・病院

・介護施設

・地域包括支援センター

・障がい者福祉施設

・学校（教育機関）

以上のように多岐にわたります。

それぞれの就職先では異なる役割や仕事内容が求められます。

3. 作業療法士の仕事内容とは？

それでは、それぞれの職場での仕事内容を見てみましょう。

3.1.病院

病院での作業療法士の役割は、治療が長期間にわたることも多いため、患者様の精神的な負担や心理的なサポートも重要です。

患者様一人ひとりに合ったリハビリテーションを提案し、身体的・精神的な回復をサポートすることが求められます。

・一般病院

患者様の運動機能の回復を目的としたリハビリテーションを行います。

病院でのリハビリテーションは、患者様の状態によって大きく3つの時期に分けることができます。

・精神科病院

精神病院で働く作業療法士は、精神的な病気を持つ患者様の心の安定を図り、日常生活を送れるようにサポートします。

患者様のコミュニケーション能力や体力の向上を目指します。

ここでの作業療法士の仕事は、機能回復を目指すだけでなく、患者様が抱える心理的な障害や課題を分析し、そこに潜む感情的な障害や恐怖に寄り添いながら、克服のためのトレーニングを行います。このように、患者様の心身の回復を総合的にサポートすることが求められます。

・その他の病院

回復期病院

急性期治療後、患者様が日常生活を自立して行えるよう、機能回復や社会復帰を支援します。

療養型病院

長期的な療養が必要な患者様を対象に、生活の質の向上を目的としたリハビリテーションを行います。

このようにさまざまな病院で、心身両面へのアプローチを行い患者様の生活の支援を行うことが作業療法士の仕事内容です。

3.2. 介護施設

介護施設で働く作業療法士は、利用者の方が自分の力で生活できるようにサポートするリハビリテーションの専門家です。

具体的には、筋力トレーニングやバランス運動を通じた機能訓練や日常生活動作訓練、在宅復帰支援などのサポートを行います。

作業療法士は、以下のような介護施設で活躍しています。

・特別養護老人ホーム

・介護老人保健施設

・グループホーム

・デイサービス

3.3. 地域包括支援センター

地域住民が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、さまざまな支援を行います。特に、要介護状態になったり、認知症になったりした人に対して、必要なサービスを繋ぎ合わせます。

地域包括支援センターの作業療法士は、地域住民が日常生活をスムーズに送れるよう、地域に根差したリハビリテーションを提供します。

3.4. 障がい者福祉施設

障がい者福祉施設で働く作業療法士は、障がいのある方が自立した生活を送れるようサポートを行います。

作業療法士は、以下のような障がい者福祉施設で活躍しています。

・障がい者支援施設

・児童発達支援センター

障がい者福祉施設の作業療法士は、障がいのある方が自分らしく生活できるよう、個々の能力に合わせた支援を行います。

3.5. 学校

学校で働く作業療法士は、発達に課題を抱える子どもたちが、学校生活に円滑に適応し、学習や社会参加を促すための支援を行います。

作業療法士は、以下のような教育機関で活躍しています。

・特別支援学校

・幼稚園・保育園

・小中学校

教育機関で働く作業療法士は、子どもたちが可能性を最大限に発揮できるよう、教育の現場で活躍しています。教育機関で働く作業療法士はまだ数が少ないですが、今後ますます需要が高まっていくことが期待されています。

3.6. その他

作業療法士の活躍の場はさまざま。他にも以下のような働き方があります。

・自宅訪問リハビリテーション

身体機能が低下し、通院が困難な方の自宅を訪問し、リハビリテーションを行います。

・フリーランス

作業療法士の資格単独で診療所を開業することはできませんが、訪問リハビリテーションやセミナー講師など、資格を活かした多様なフリーランスの活動が可能です。

このように作業療法士の資格を活かした多彩な働き方が可能です。

4. 就職活動のポイント

作業療法士を目指すみなさんは資格取得後に、いよいよ社会人として第一歩を踏み出すことになります。希望の職場にスムーズに就職するためには、いくつか注意しておきたいポイントがあります。

4.1.求人募集の締め切りを確認する

多くの医療機関や介護施設は、年に数回、新卒の作業療法士を募集します。特に、自治体や大手企業が運営する施設では、春から夏にかけての採用試験が一般。

採用試験を受けたいと思っても、すでに募集が締め切られていると応募できません！気になる職場が見つかった場合は、早めに求人募集の締め切りを確認しておくことが重要です。

4.2.併願受験は基本的に避けましょう

多くの養成校では、学生の採用試験の併願受験を禁止しています。これは、内定を辞退することで、養成校と医療機関の信頼関係が損なわれてしまうことを防ぐため。

どうしても併願受験をする必要がある場合は、事前に養成校の教員に相談することが大切です。どの施設に入りたいのか、しっかりと考えてから採用試験を受けるようにしましょう。

4.3.職場見学時の準備をしっかり行う

職場見学は、採用担当者が学生の人柄や能力を観察する重要な機会です。つまり、あなた自身をアピールする絶好のチャンス。

そのため、態度や言葉遣いに注意し、自分の考えを整理しておくことが求められます。見学時に自分の意見をうまく伝えられなかったり、不適切な態度を見せてしまうと、採用選考に影響を与える可能性も。

服装や言葉遣いを適切にし、リハビリに対する自分の考えをしっかり伝えられるよう準備しましょう。

以上の注意点を把握しておくことで、作業療法士としての就職活動をより円滑に進めることができます。

希望する職場に就職できるよう、しっかりと準備をして臨んでくださいね。

5. まとめ

作業療法士の仕事は、人々の生活を豊かにするやりがいのある仕事。

就職先によって仕事内容は異なりますが、共通しているのは、一人ひとりの患者様や利用者様に寄り添い、その人らしい生活を支援することです。

今回の記事を参考にして自分の理想に合った就職先を見つけ目指しましょう。