理学療法士と作業療法士の違いって?それぞれの仕事内容や専門分野を解説します
リハビリテーションの専門職として、理学療法士と作業療法士という言葉を耳にする機会が増えました。 どちらも患者様の回復をサポートする重要な役割を担っていますが、一体どのような違いがあるのでしょうか? この記事では、理学療法士と作業療法士の仕事内容や専門分野を詳しく解説します。そして、それぞれの職業の魅力や、自分に合った道を選ぶためのヒントもご紹介します。 リハビリに興味がある方や、どちらの職業を目指すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1. 理学療法士と作業療法士の違いって?

理学療法士(PT)と作業療法士(OT)は、どちらもリハビリテーションの専門職ですがそれぞれ目的やアプローチに違いがあります。
理学療法士とは、主に身体の機能回復を目的とし、体の基本的な動作(歩行や立ち上がり)を改善することを目的とします。
一方、作業療法士は、日常生活動作や趣味、仕事などを通じた生活の質(QOL)の向上を目指し、心身の健康を支えるサポートを行います。
つまり、簡単に言うと...
・理学療法士は「体を動かせるようにする」専門家
・作業療法士は「動かせる体をどう活かすかを提案する」専門家
それでは、具体的に理学療法士と作業療法士のそれぞれの仕事内容について説明していきます。
2. 理学療法士の仕事とは?

理学療法士の仕事は、患者様の身体機能を最大限に引き出し、自立した生活が送れるようにサポートすること。
病気やケガで思うように体が動かせない患者様に対し、医師の指示のもとで運動指導や物理療法を通じて、身体機能の回復や維持、向上を目指します。
理学療法の対象になる患者様の例
・脳性麻痺や事故、病気による障害を持っている
・脳卒中後の後遺症がある
・高齢化による身体機能の低下がある
治療を行う際は、どんな動きが危険か、どんな動きが助けになるかを考え、患者様に最適な目標を設定します。そして、それに向けたリハビリの方法やプログラムを作り、実行します。
2.1. 理学療法士の専門分野
理学療法士は、患者様一人ひとりのニーズに応じて、幅広い専門分野でリハビリを提供しています。
リハビリの中心は「運動療法」ですが、それに加えて、さまざまな療法を組み合わせて、最適な治療を行います。
・運動療法
筋力や柔軟性、バランス能力を改善するために、個別にプログラムされた運動を指導します。例えば、下肢の筋力が低下した患者様には、歩行訓練や階段昇降の練習を行います。
・温熱療法
体を温めることで血流を促進し、痛みを和らげたり筋肉の緊張をほぐしたりする治療法です。熱を利用することで身体の自然治癒力を高め、リハビリや治療に役立てる方法です。
・物理療法
電気刺激、超音波などの機器を用いて、痛みを軽減したり、血流を改善したりします。特に腰痛や関節炎の患者様に有効です。
・呼吸リハビリテーション
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎後の回復をサポートするため、呼吸筋の強化や酸素吸入を補助します。
・スポーツリハビリ
アスリートがケガから復帰する際のリハビリや、競技パフォーマンスの向上を目指します。
理学療法士は、医師や看護師、作業療法士などと多職種チームを組み、患者様に最適なリハビリ計画を提供します。
患者様一人ひとりの状態に合わせた適切なリハビリプランを提供することで、身体的機能の改善や自立を支援するのが理学療法士の役割です。
さらに近年では、障害がある方だけでなく、健康維持やスポーツパフォーマンス向上のために理学療法が活用される場面も増えています。
3. 作業療法士の仕事とは?

作業療法士の仕事は、患者様が日常生活を自分でできるように、心と体の回復をサポートする専門職。食事や歯みがき、掃除など、普段の生活に必要な動作を取り戻すために訓練を行います。
つまり、患者様が生活を楽しむための力を取り戻すことです。理学療法士が基本動作に重点を置くのに対し、作業療法士はその動作を「どう生活に結びつけるか」を考える役割を果たします。
作業療法の対象になる患者様の例
・身体的、精神的な障害を持っている
・自立した生活に困難を感じている
作業療法士は、患者様の状態を見ながら、どんな訓練が一番役立つかを考えて、個別の目標やプログラムを作成し、実行します。また、患者様が楽しく生活できるように支援します。
3.1. 作業療法士の専門分野
作業療法士の専門分野は、患者様が自立した生活を送れるよう手助けすること。
例えば、認知症の方には記憶力をサポートするアクティビティを提供したり、脳卒中の後遺症を持つ方には着替えや調理といった日常動作を取り戻す練習を行ったりします。
他にも、以下のような仕事が専門分野です。
・日常生活活動(ADL)の訓練
食事や着替え、トイレ、入浴といった日常的な動作を再び行えるよう訓練します。高齢者や脳卒中の患者様が主な対象です。
・認知機能訓練
認知症や脳損傷で低下した記憶力や注意力を改善するためのトレーニングを行います。パズルや記憶ゲームなどを活用します。
・精神的ケア
うつ病や統合失調症などの精神疾患を抱える方が社会生活に戻れるよう、日常活動や趣味を通じて心のリハビリを行います。
・手工芸療法
編み物や陶芸、木工などを通じて、手先の機能を回復しつつ、達成感を味わってもらう支援を行います。
作業療法士は、患者様自身の希望や生活スタイルに寄り添いながら、その人らしい人生を取り戻すことを目指します。
さらに、作業療法士の活動は医療だけにとどまりません。障害予防や地域活動、企業での働きやすい環境作りなど、幅広いフィールドでそのスキルが活かされています。
患者様の心と体の両面に寄り添い、その人らしい生活を応援する存在として、作業療法士の重要性はますます高まっています。
4. 理学療法士と作業療法士、どちらが自分に合っている?

どちらの職業が自分に合っているかを考える際には、自分の性格や興味の方向性を見つめ直すことが大切です。
以下のポイントを参考にしてみてください。
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理学療法士に向いている人 |
作業療法士に向いている人 |
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・体の仕組みや運動に興味がある 解剖学や運動学に興味があり、具体的な数値や動作分析が好きな人。 |
・人の生活や心のケアに関心がある 患者様と深く関わり、その人の人生に寄り添いたい人。 |
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・スポーツが好き スポーツに関わる仕事に憧れがある人。 |
・手先が器用でクリエイティブ 手工芸やアート、工作が得意で、それを活かしたい人。 |
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・論理的に考えるのが得意 問題を解決するために分析し、計画を立てるのが得意な人。 |
・相手の気持ちを大切にできる 患者様の心理的なサポートにも興味がある人。 |
どちらも患者様の人生に深く関わる重要な職業ですので、興味や適性を考えながら進路を選びましょう。
5. まとめ

理学療法士と作業療法士は、それぞれ異なるアプローチで患者様を支えるリハビリの専門家。
体の動きを中心に考えるのが理学療法士であり、動きを活かして生活を豊かにするのが作業療法士です。
どちらの道を選んでも、患者様の生活の質を向上させるやりがいのある仕事です。
自分の興味や性格に合ったキャリアを見つけ、リハビリテーションの分野で社会に貢献できる専門家を目指してみてください!
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学校法人たちばな学園 理学・作業名古屋専門学校の理学療法学科・作業療法学科では... 【理学療法学科】 大卒+福祉に強い!+現場に強い!+レベルの高い!理学療法士に! 本学科では、話題の最新設備「Vicon(モーションキャプチャ)」やスポーツ医学検定合格支援を通じて、科学的視点と実践力を兼ね備えたスキルを習得します。 【作業療法学科】 作業療法士×大卒×認定心理士 幅広い分野で活躍できる! 本学科では、作業療法士資格に加え、学士(大学卒業資格)と認定心理士を取得でき、 幅広い分野で活躍できる作業療法士を目指せます。 オープンキャンパスで、理学療法士・作業療法士としての未来に触れてみませんか? |
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